相続放棄をしても遺族は年金を受け取ることができるか

文責:所長 弁護士 上田佳孝

最終更新日:2021年04月28日

1 受け取る遺族年金の種類

 公的な年金制度に加入している方が亡くなった場合、そのご遺族に支給されるのが遺族年金です。

 亡くなった方が、国民年金に加入されていた場合は「遺族基礎年金」、厚生年金に加入されていた場合は「遺族厚生年金」を受け取ることができます。

 また、亡くなった方自身がこれらの年金をまだ受け取っていなかった場合は、「未支給年金」となります。

2 遺族は相続放棄をしても年金を受け取ることができる

 相続放棄をしても、遺族は年金を受け取ることができます。

 これは、遺族年金はあくまでもご遺族の権利・財産であって、亡くなった方の相続財産ではないと考えられているからです。

3 未支給年金も遺族が受け取ることができる

 遺族基礎年金・遺族厚生年金は、ご家族が亡くなった場合に遺族が受け取ることのできる年金ですので、相続財産ではなく、遺族の財産であることがわかりやすいかと思います。

 これに対し、未支給年金は、本来であれば亡くなったご家族の方が受け取るはずであった年金ですので、相続財産ではないかとも思えます。

 この点について、最高裁判所は平成7年11月7日の判決で、「国民年金法19条1項は、『年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。』と定め、同条5項は、『未支給の年金を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。』と定めている。右の規定は、相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり、死亡した受給権者が有していた右年金給付に係る請求権が同条の規定を離れて別途相続の対象となるものではないことが明らかである。」と述べ、未支給年金も現在の国民年金法で定められた遺族の権利であり、亡くなった方の相続財産には含まれないことを示しました。

※参考リンク:最高裁判所判例集

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